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2024パリ五輪 マラソン競歩混合リレーの五輪出場予選を解説します!
パリ五輪 競歩新種目「マラソン競歩男女混合リレー」予選の仕方が発表されました
この新種目を「個人的な見解」も交えて、解説していきたいと思います
初めて聞く人にはマラソン?競歩?混合?リレー?っと
新しいキーワード満載なので、混乱するかと思いますが、
簡単に説明すると
東京五輪で50㎞競歩が五輪種目として最後になり
新しい種目として、マラソン(42.195㎞)の距離を、男子選手・女子選手が
交互に約10.5㎞をリレーして争う、という種目が採用が決まりました
この種目の予選方式が発表されました
このタイミングでの種目変更は異例中の異例です。
しかも発表から1年以内に予選が開始されるなんてことは今までなかったことです。
【パリ五輪のマラソン競歩混合リレー出場概要】
最大25チームがエントリーでき
2024世界競歩チーム選手権(4月開催)にて、上位22チームに出場権が与えられます
残り3チームは出場権を得ていない国・地域からトップランク3チームに与えられます
最大5カ国まで2チーム出場可能です。
国として2チーム出すには上記の要件で行くと、世界競歩チーム選手権で22位以内に
同一国内2チーム入る必要があります。
(追加のトップランク3チームはあくまでも出場権を得ていない国・地域が対象のため)
五輪出場には来年4月に開催される世界競歩チーム選手権にて、22位以内に入るのが必須条件と言えるでしょう
今まで「個」で五輪出場を争っていたのが、「チーム」」で出場権を獲らなければいけない!
ということが競歩で初めて起こることになります
【競歩の「判定」について】
今回の発表でもう一つ気になった点がありました。【判定】についてです。
優先事項として「すべてのチームがゴールできるようにする」としています。
したがって、歩型違反での失格が出た場合、タイムペナルティーが失格の代わりになると明記されています。
東京オリンピックでは、ペナルティエリアがオリンピックで初めて採用され
警告3回で10㎞毎に1分のペナルティエリアでの待機がルール化されました。
実際に女子20km競歩では、メダル争いが入れ替わる大きなドラマがありました
今回の発表に明記されていませんでしたが、このトピックの最大のポイントは
ペナルティを「チームに課すのか」「個人に課すのか」という点です。
現行のルールが採用されるのであれば、1人の選手に対して3つの警告でペナルティエリアに入ります。
そして、4枚目で失格となります。
(ただ、今回の発表を額面通りに受け取るとタイム加算のペナルティで終わる可能性があります)
男女で1チームなので、従来通りであれば、それぞれの選手がフォームの責任を背負わないといけません
仮に「チームに課す」となった場合、
男子選手が2枚警告が出て、次を歩く女子選手が1枚出たとしたときに、ペナルティエリアに入る対象となるということです。
(※あくまでも現行ペナルティルールをチームに与えるのであればの場合)
これは世界陸連が「チーム」をどう捉えているのかによって判断が変わってくると思います。
「個々に課す」のであれば、よりスピーディーな展開が可能になります。
「チームに課す」のであれば、より戦略的な戦術が求められます。
各選手のペナルティとチームへのペナルティでは、1枚のペナルティーの持つ意味が大きく変わってきます。
それに各選手リレーをするので10㎞を2回歩きます
個々へのペナルティであればカードは、2回目に歩くのにも持ち越すのか?、1回でリセットされるのか?
でも戦略が大きく変わってきます
推測ですが、ペナルティタイムの加算は、試合中に行われペナルティエリアでの待機というルールを
採用してくると思っています
つまり、ゴール順が着順となるようなルールで行われると思います。
ゴール後にタイムを加算して、最終的に順位が決まるのではなく見たままの順位でゴールが決まると言うことです。
ゴール後のタイム加算だと着順と正式結果が変わってしまいます。
IOCは「わかりやすさ」を求めているので高い確率でこのようなルールになると予想しています
【難題!選考スケジュール】
マラソン競歩混合リレーの選考をどうすべきか、難しい状況になっています
パリ五輪−世界競歩チーム選手権までのスケジュールを確認してみましょう
2024年
7-8月 パリ五輪
4月20-21日 世界競歩チーム選手権
(全日本競歩輪島大会・日本選手権35㎞競歩と同日程)
3月 全日本競歩能美大会20㎞
2月 日本選手権
1月 元旦競歩
2023年
10月 全日本競歩高畠大会
くしくも世界競歩(世界競歩チーム選手権)と同日程なった輪島は
混合リレーの距離の10kmの試合はしていますが
おそらく世界競歩チーム選手権と重なるので、
パリ五倫への選考会にはなれない可能性が高まっています
混合リレーで五輪代表を目指すのであれば、世界競歩チーム選手権のメンバーになることが必須ですが
「どの選考会」で選ぶのかというのが難しい問題になってきます。
10月の高畠、2月の日本選手権、3月の能美、
ここがリレーメンバーの選考対象となってくるはずです。
ただ従来の通りであれば高畠は35㎞競歩がメインであり、シニアの10㎞はありません
能美は世界競歩チーム選手権の1ヶ月前とエントリーが間に合うのか?という問題もあります。
仮にエントリーが間に合わないということであれば能美は選考対象にならないレースとなってしまいます(混合リレーに関しては)
今まで、全日本競歩・日本選手権が五輪・世界陸上の選考会になっています。
”従来通り全日本クラスの試合を選考会するのであれば”、10㎞のレースをシニアで新設する必要があるでしょう
高畠は「国体」と日程が近くなりますが、本番では同日に10㎞を2回歩く訳ですから、無い話ではありません
能美はスケジュールの問題もありますが、日程を早くできれば能美での10㎞開催し選考も可能でしょう。
【目的を明確にして課題を克服するために】
目的は「パリ五輪での混合リレーでのメダル獲得」
とするのであれば、
「世界競歩で3チーム以上編成し、出場権を獲得する」
が必須条件だと思います。
そのためには可能な限り3チームを良い状態で世界競歩に出場させる必要があります。
既存の大会スケジュールをあまり考慮せずに考えれば、
2月の日本選手権は混合リレーのプレ大会として活用し、4月がいきなり世界競歩としないようにしたいです。
2か月しっかりとプレ大会での課題に向き合えるのでかなり良い調整が出来ると思います
そうなると年内にはチーム編成を決めて1月には合宿をし始める必要があるでしょう
【まだまだ残る課題】
陸連としては、メダルがある程度計算できる「競歩」という種目で
いかにメダルを獲り切るか?が命題です。
そうなると、男子20㎞競歩でメダルを獲るのはもちろん、スピードのある男子20㎞競歩の選手に
混合リレーにもWエントリーしてもらって、メダル量産を狙う、という視点もあるでしょう。
女子の競歩は代表クラスと、そうでない選手との差が大きいので
メダルを獲るならWエントリーの可能性も同様に考える必要があるでしょう。
強い選手同士を組ませる、は、各国ともにやってくる戦略です。
男女のバランスを崩してしまうと、予想していない国にも負ける可能性があります
ただ、そこには選手の意向もあると思います。
種目を絞ってメダルを狙いたい選手、もいるかもしれません
目的のために、陸連が主導してチームを作ることになると思いますが
初めてのことだらけなだけに、選手も陸連もかなり頭を悩ませることになりそうです。
◯10㎞競歩のスペシャリストの育成→20㎞選手に頼る状況を改善したいです。ただ男子は選手層が厚いので期待できます
◯女子選手の強化→代表クラスの選手との差が大きいですが、最近は若い選手が順調に育ってきているので楽しみです
【混合リレーの今後の展望】
主催者が世界陸連なので世界陸上では35㎞競歩が少なくとも2025世界陸上東京までは開催されると思いますが
パリ五輪で混合リレーが話題になれば、、、世界陸上でもどうなるか、正直分からない部分はあると思います
やはりマラソンという距離は認知度が高く、一般大衆への分かりやすさがあります。
35㎞が世界陸上にとりあえず残るとしても、五輪は35㎞に戻すことは無いと思うので
35㎞と混合リレー共存体制は長くは続かないと思います。
その準備は今からしておく必要があると感じています