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新種目 35㎞競歩をレビュー 35㎞競歩、皆さんの目にはどう映りましたか?(あくまでも個人的なレビューです)
世界競歩チーム選手権で35㎞競歩が初めて開催されました
放送席から見てた感じだと、やはり「微妙」
20㎞の延長線上の試合でしかないと思います。
優勝したカルストローム選手(スウェーデン)は20㎞での世界陸上銅メダリスト
2位 アルバロ・マルティン(スペイン)は20㎞での東京五輪4位
3位 ミゲル・アンヘル・ロペスは20㎞での世界陸上金メダリスト
4位 川野選手、50㎞競歩で東京五輪6位
5位 Ning LU 大きな実績は無いですが、20㎞の方が持ちタイムが良い選手です。
6位 Karl JUNGHANNSS 50㎞も20㎞も特筆すべき実績は無いですが、35㎞では6位に!
7位 エヴァン・ダンフィー選手 東京五輪50㎞競歩銅メダル
8位 サイオ・ボンフィム選手 世界陸上20㎞競歩銅メダル
35㎞になり50㎞選手はTOP3に入りませんでした。
TOP8には2名(川野選手・エヴァンダンフィー選手)という結果でした。
もちろん、1つの試合だけで20㎞選手に有利と言うのは早計かもしれません
今回は、50㎞で実績のある選手も東京五輪後ということで
ほとんど出場をしていませんでしたので。
ただ、、、
35㎞という距離での競争が面白かったか?
っと言われれば、正直面白みは無かったのが正直な感想です。
一言でTV画面から「訴えるものがない」ということを感じました。
「訴えるものがあった!」50㎞競歩を見るなら、
どの試合を競歩を観て楽しめるか?っと言われれば、
リオ五輪の50㎞競歩を挙げます。
このレースには4時間近い放送でしたが、50㎞競歩の面白さが
「ギュッ」と凝縮されています。
序盤は「ディニズ劇場」世界記録保持者のディニズ選手が後方の選手を置き去りにして
6回も倒れながら歩き続け8位に入賞するというある意味の快挙
中盤のトス選手とタレント選手の駆け引きある主導権争い
クライマックスは、荒井選手とダンフィー選手の接触アクシデント
エンディングは荒井選手の銅メダル獲得からの失格騒ぎが
その後の二人の友情ストーリーにつながる、という映画のような終わり方。
50㎞という距離の過酷さが絶妙な演出として
各選手のストーリーを引き出してくれました。
6回倒れるほどの50㎞ってどんだけきついんだ!
まだ30㎞でトップに出るのは早いっと判断するタレント選手(30㎞なのに「まだ」という表現ができるの50㎞だからこそ)
48㎞も死力を尽くして歩いてきて「接触」もすればバランスも崩れるだろう、っと思うに充分な二人の疲労困憊の中でこそ起きたアクシデント
画面に映る選手の表情に「50㎞」という距離を感じさせ、「体力が尽きた中での精神力勝負」という
限界を超えたときに生まれる「メンタリティーの強さ」の要素がTV画面からあふれてきます。
35㎞だと50㎞で感じらた魅力を、感じることは出来ないです。
20㎞選手が多く参戦してスピードで押し切って結果を出せば出すほど
35㎞という距離の魅力が薄くなる気がします。
おそらく、山西利和選手が35㎞に出場していたら、金メダルを獲れたと思います。
そういう意味では、短距離選手のように100m200mなど2種目でメダルが狙える、というのも話題性としてはあると思いますが
難易度が高いからこそ価値があるので、あまりにも20㎞選手に有利な距離だと2種目でメダルを獲っても
価値が下がってきてしまいます。
そうなると、35㎞ではなく距離を「マラソン(42.195㎞)」にするのが良いと思います。
一般の方もマラソンという距離への理解も深く、タイムがどれぐらいだと速いか?っというのを
説明するまでもなく理解している人は多いです。
競歩のトップ選手が「歩いてサブ3」をすれば、多くの方の興味が引かれると思います。
タイムの比較が出来ると、「歩くvs走る」のハンデ戦も作りやすくなり
派生して様々な企画も出しやすくなると思います。
WA(世界陸上競技連盟)として、まずは35㎞という新しい種目を導入した!というチャレンジは素晴らしいことだったと思います。
開催してみたことで見えてきた「気づき」も多くあったと思います。
WAが35㎞をこのままイベントとして「育てていく」のか?、それとも「気づき」から別距離に変更していくのか?
(おそらく「育てる」という方向だとは思いますが、、、)
いずれにしても、競歩に携わる者としては、私個人の意見としては
「競歩という種目をより魅力的に多くの方に訴えかける」
ということを、念頭にいろいろと判断して欲しいと思っています。