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50㎞競歩代表 丸尾選手3人目決定!タイムには見えない僅差を制し、強いものが勝ったレース
第105回日本選手権50㎞競歩は
激闘を制し、丸尾選手が初優勝で東京五輪内定をつかみ取りました。
ゴール前に涙を堪えてゴールに向かう姿には、見ているこちらもグッときました。
2位の勝木選手とは3分52秒差と大差でしたが、
実際のレース内容は4位の野田選手との壮絶なハイペースな競り合いを制しました
丸尾選手が「本当に強い選手は、どんな展開になっても勝ち切れる」ということを
証明してくれたレースでしたが。
ちょっと展開が変われば、野田選手が勝ってもおかしくないレースでした。
優勝以外は最下位と同じようなレースで、
「勝つためのレースを出来るか?」
この課題が各選手に突き付けられていたのが今回のレースです
レースを振り返りたいと思います
序盤、最初の5㎞は落ち着いた展開。
勝てば良いのでどの選手も積極的には出ない展開でした。
最初の5kmは22分22秒。
最後にスピードのある選手を有利にさせないために
50㎞で実績のある選手はある程度、ペースを作りたいだろうな、
っと思っていたので、やはりそれほど遅くならずに
徐々にペースが上がる展開となりました。
このときの集団は、トップ争いをすると予想された6名がしっかりと
レースを作っていました。
12㎞過ぎたあたりで、藤澤選手が飛び出し集団を壊しました
ペースを4’14/㎞まで上げて一気に集団を崩しました。
まだ38㎞もあるのに早い段階でのペースアップでしたが
20㎞を得意とする藤澤選手にとって、50㎞選手の土俵でレースをするならば
どこかで自分のリズムに巻き込むレースをするのは
「勝つ」ためにしなければいけないレースだったでしょう
前回五輪メダリスト荒井選手が離脱してしまうなか
ハイペースを利用して、丸尾選手・野田選手が集団の主導権をとっていきます
ここからが、二人の激しい「ハイラップ(速すぎるペース)」合戦になります。
20-25㎞ 20’59 というハイラップを作ると、藤澤選手が苦しくなりました。
そして、「ハイラップ」は止まらず
25-30㎞ 20’59 と、立て続けに20分台。
川野選手(日本記録保持者)も、鈴木選手(世界陸上金メダリスト)も出していない領域に
丸尾・野田両選手が飛び込みます。
こうなると、2名以外は一気に置いていかれます。
30-35㎞ 20’56。。。丸尾選手・野田選手ともに15㎞もこのハイラップを刻みました
当然、世界記録すら見えてくるペース
前回のブログで、「どのタイミングでハイラップを作るかが勝負の分かれ目」
っと書きましたが、まさか15㎞連続とはさすがに予想してませんでした。
そして、このハイラップは「諸刃の剣」ともブログで書きましたが
相手を強烈に消耗させることは出来ますが、自分自身も猛烈に消耗する。。。
ハイラップ合戦から、真逆の「粘り合い」の展開。
最初に粘れなかったのは丸尾選手
ハイラップからペースが2名ともさすがに落ち始めた中
丸尾選手は野田選手に離され始めました。
おそらく、川野選手が日本記録を出した時に2位となってしまった
記憶が戻ってきたでしょう。
丸尾選手はとても苦しかったと思います。
しかし、この川野選手との激闘があり、その悔しさから
丸尾選手が驚異的な粘りを見せます。
野田選手は離したはずの、丸尾選手が追いつい来る
野田選手も苦しかったでしょう。
ただ、川野選手との激闘を経験してた丸尾選手が上回りました。
野田選手はペースを上げることが出来ないなか
丸尾選手に追いつかれしまいました。
このチャンスを、悔しい想いをした丸尾選手は逃すはずもなく
勝負所で渾身のスパートを丸尾選手は掛けて
一気に野田選手を置きざりしました。
前回のブログにも書いた通り、「ハイラップは諸刃の剣」
二人は相手を切りつけ、自分の身をも切るレースをしました。
もし、野田選手が未来を見えることが出来たのであれば
最後の10㎞を47分も掛かってしまった丸尾選手ことが分かっていたのであれば
ハイラップを控えて最後の10㎞に備えていたでしょう。
しかし、誰もが未来など見えるはずもなく。
「勝ちたい!」という気持ちが作ったレース
そして、「勝ちにいこうとしたレース」をした野田選手。
ゴール後に、野田選手のコーチの谷井コーチ(世界陸上北京銅メダル)
と話したら、「あとペース(野田選手の)が2-3秒遅く歩けていたら・・・」っと悔やんでいました。
勝つレースをするという事は、
・相手よりも速いペースを作ること
・相手が前に出たらそれに対応すること
この2つをしなければ勝てません。
タイムではなく、勝負のレース。
丸尾選手・野田選手のレースはそんな素晴らしい魂のぶつかり合いのレースでした
こういうレースが、五輪直前に出来たのは丸尾選手にとって大きな財産でしょう
レースの経験を糧に、順調にアスリートとして成長を重ねてきた丸尾選手。
このレース、もっとも印象に残ったのは
ガッツポーズせずゴールし、コースに向き直ると
深々と「礼」をした丸尾選手。
っと言いたいところですが(笑)
やはり、涙を堪えて眼の前を通りすぎた丸選手の表情。
世界陸上ロンドンでは5位入賞ながらも、2名のメダリストの陰になり
東京五輪選考会では、日本記録に僅差の2位と陰になり。
初めて1位で主役となった歓喜のゴール。
丸尾選手、お疲れさまでした。
まずは束の間、ゆっくり休んでください。