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ウォーキングブログ
長文です! 50㎞競歩廃止報道について TV解説者として解説!
まずは「お断り」
これから書くことは、あくまでも柳澤個人の見解であり、
柳澤が関係する様々な機関の見解ではありません。
個人的な見解ですが、この流れを誤解を恐れずに言うと
「賛成」しています。
歓迎はしませんが、賛成はします。
昨年の4月に50km廃止の問題が起こり、ほどなく沈静化したときにも
FBで書きました。要点は以下の通りです。
批判はありますが、IOCの商業化は顕著です。
競技を分かりやすくし、競技時間を短くすることで、視聴者の観やすい受入れやすい大会にしようとしています。
野球はタイブレークが導入され結果が早く出るように国際ルールは変わり試合時間が短くなり
伝統のあるレスリングは、競技そのものが五輪から外される危機に直面したこともありました。
野球は競技時間の長さを改善し、レスリングをルールを明確化し男女の階級数を整えるなどして、五輪に生き残ることが出来ました。
IOCの商業化がけしからん!と言ったところで、それを変える術は、各競技団体の一種目には無いですし、逆にIOCが商業主義に走り五輪が注目されるからこそ、国は競技を強化し選手の環境が整うという側面も否定は出来ません。
もし、五輪種目として存続を希望するのであれば、興行主のIOCの意向に反し続けるというのは誰が考えても得策ではありません。
そんな商業化した五輪になんか残らなくていい!!と五輪を目指して頑張っている選手がいるのに言えないでしょう
そう考えた時に、今回の結果(存続決定)が「50km競歩とって」では無く、【競歩】とって良かったのかどうか?
50km競歩が残った、良かった良かった、で終わったら50km競歩問題は【競歩問題】になるかもしれません。
いろんな意味でマイナスな議論では無く、プラスの議論をする必要があります。
もし、IOCの言いなりで無く反旗を振りかざすのであれば、我々が出来るのは魅力的な競歩の提案。競歩が競歩選手しか面白いと思うものでは無く、観ている人が誰もが面白いと思ってくれるルールもしくは新たな種目の提案でしょう
100mの予選を削っても競歩の新しい種目(もしくは既存の競技の新たな見せ方)を導入したい!と思わせたいものです(笑)
と、ここまでの事を書きました。
そして、その後、数日たって率直に思ったのは、
本当にこの時に50㎞廃止に反対をして良かったのか?ということです。
日本としては、50km競歩はお家芸といっていいレベルまで成長しました。
谷井選手が世界陸上銅メダル
荒井選手の五輪銀メダル
小林選手の世界陸上銅メダル
世界競歩にいたっては、表彰台独占です。
先日行われた、アジア大会では勝木選手が金メダルです。
なのに、50km競歩廃止に「賛成」する理由は、
競歩競技というものが、これから先の未来にも多くの方に親しまれるスポーツであってほしい
という「想い」からです。
未来も多くの方に親しまれるスポーツであるためには、「五輪種目」である必要があります。
五輪種目だからこそ、国・企業が選手を強化しているという側面がある以上
五輪種目であるための「努力」を競技としてしなければならないでしょう。
その「努力」というのは、魅力ある競技として発展だと思います。
競歩という種目は、伝統という言葉に甘んじこの努力を怠ってしまった側面はあると思います
だからこそ、ルールやレギュレーションがほとんど変わることなく、五輪種目としてここまできました。
野球では、タイブレーク
サッカーでは、ビデオアシストレフリー導入
テニスでは、チャレンジ(ビデオ判定)の導入
※ラインでインアウト判定する多くの種目に導入されつつある(バトミントンなど)
バレーボールでは、ラリーポイント制
どれも、IOCによる競技時間短縮を目的とした側面はありますが
スポーツのドラマ性を促してもおり、その競技をより魅力的にもしています。
なんでも変えればいい、という訳ではありませんが、日本だけで言えば
50km競歩がこれほど活躍しても、競技への評価がまだマイナー種目なのが現状であれば
やはり、変わらないと駄目だと思います。
男女混合種目を50kmの変わりの種目として検討されています。
これは、競技的にはチャンスだと思います。
アジア大会でも、400mリレーで開催されていましたが、戦術の「妙」があり
日本人受けしそうな気がします。
今季の世界ランキング(タイム)
男子1位は1時間17分25秒
男子10位は1時間19分15秒
タイム差は1分50秒
女子1位は1時間23分39秒
女子10位は1時間27分58秒
タイム差は4分9秒
つまり、女子選手の方がタイムギャップが生まれやすく、女子選手を平均的に強くするか
それを補えるほどの男子選手を育成する必要があります。
報道の通り、男女混合競歩が一人10kmであれば
男子選手を2名先に配置して逃げ切るのか?
女子を2名先に配置して、追い上げるのか?
バランスよく配置して、常に安定した位置でレースを進めるのか?
もちろん、課題はたくさん生まれるでしょう
失格でリレーがつながらない場合は?
20km競歩と兼任できるのか?
やってみて分かる課題もあるでしょう。変わることを恐れずやってみる
まずはそれが大切です。
日本の競歩のことを考えれば、当然「反対」でしょう。50㎞選手の心情を思えば尚更。
しかし、より競歩の発展を考えたときに、何かを変えなければいけない
というのは現状を打破するためにも当然というよりも必然でしょう。
東京五輪で引退する選手はいるでしょうが、多くの選手はその先にも競技人生が続きます。
その先の競技人生で彼らが活躍し、多くの方に競歩を楽しんで、親しんでもらいたい。
そう考えたときに、50㎞競歩廃止を「反対」とは言えません。
前回の50km競歩廃止騒動のときに、この問題はまた起こると確信していました。
IOCの商業化の波は決して止められないからです。
そして、東京五輪で例え50km競歩が表彰台独占をしたとしても
その次の五輪からその種目がなくなってしまえば、日本での競歩は下火になってしまうのでは?
その危機感があり、なくならない種目である20km競歩を強くしなければいけない!
っと思い、20km競歩チームだけのナショナル合宿を提案し多くの関係者の協力で開催してます。
2020年のその先に向けて。
これからも、皆さんにとって魅力的な種目であり続けられるように
微力ながら尽力したいと思います。