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リオ五輪 男子50㎞競歩 レース解説&レビュー
男子50㎞競歩が無事に終わりました。
結果は、IAAFのHPでも確認できます。
https://www.iaaf.org/competitions/olympic-games/the-xxxi-olympic-games-5771/results/men/50-kilometres-race-walk/final/result#resultheader
レースは予想通りの展開でした。
ディニズが飛び出し、それを追いかける先頭集団。
その中に日本の新井・谷井選手もしっかり入り、やや後方で森岡選手。
集団は世界チャンピオンが3名がいる豪華な集団。
ディニズがペースを1㎞4’20~15と上げて逃げる中、後方集団は
4’30程度のペースを刻む
あまり離されたくないと考えるトスが集団を引っ張るような形で
先頭を伺う。しかし、集団はトスには反応せずタレントの動きに反応する。
トスはあくまでも自分が集団を引っ張ているという感覚がなく
自分のリズムで前に出る、集団に飲まれるを繰り返しており、
見た目以上に疲労感はなかった。
ディニズ、鬼門の30㎞付近でやはり止まる。そこから選手の心理的な
駆け引きが始まる。ここでダンフィー選手(カナダ)が集団から出る。
これは正直早かった。ここで彼が集団に残るという選択をしたら
新井選手のメダルはわからなかった。
ダンフィー選手の作戦ミスに見えるかもしれないが、彼は金メダルを目指した
レースをしたということ。自分の力と周りの力を見極められなかった。
50㎞競歩の経験の少なさが、判断を狂わせた。
ダンフィー選手が再度集団に飲み込まれたタイミングで、
メダルハンターのタレント選手がが仕掛ける。
タレント選手からマークする相手としてみられていた、ダンフィー選手。
タレント選手のしたたかな仕掛けに着いていけない。
タレント選手のメダル獲得のパターンは、40㎞前後で仕掛けて
セーフティリードを作り、45㎞以降のキツイところで、追い掛けてくる
選手をみながらレースをするということ。
後半キツイところで前を追いかける選手としては、縮まりそうで
縮まらないのは、体力精神のダメージが大きい。
しかし、ここで誤算があったのは、新井選手がついてきたこと。
タレント選手がセーフティーリードをとるためには、さらにスピードを上げて
新井選手を諦めさせなければいけない。少し無理をせざるおえなくなった。
トス選手は表情息遣いをみても限界に近かったが、タレント選手を追いかけなかったのが
功を奏した。トス選手はタレントを追いかけた新井を振り切ると、
新井を振り切るためにペースを上げざるを得なかった、タレント選手が疲労でペースが
上がりきらない、追いついてくるタレント選手をみて気力を戻したトスがペースを上げる
タレント、スタミナを使い果たし、なす術がない。
一方で、4位と落ちたダンフィー選手が諦めずに粘っていると、新井との距離が
開かないとみるや、ラスト1周に渾身のスパートをかけてきた。
フォームはロスオブコンタクトの違反気味だったが、審判がとらない。
新井選手、順位を守りに入ったかペースが上がらない隙をつく
追いつく、接触。
ダンフィー選手のフォームをみるからに、長く地面を蹴り続けると
足がつってしまいそうなので、早く地面から足を離したいという意図が見える。
新井選手との接触でバランスを崩し、踏ん張った分、筋疲労が限界の限界を超え
力尽きる。
トス選手のメダルへの執念と冷静さ、タレント選手の試合巧者ぶり、
そして、新井選手のメダルへの気持ちの強さが金銀銅となって表れたレースだった。
【日本選手 解説&レビュー】
如何に試合まで、順調に練習が詰めるのか?それが大きく分けた結果だった。
新井選手以外の2選手と話をし、新井選手のコメントから
やはり練習での達成度・納得感・充実感は新井選手が群を抜いていた。
他の選手も練習が出来なかったという訳ではないが、
練習の物足りなさ・かみ合わなさを感じていた。
今後は「質の高い練習」「モチベーションの維持」といった部分で
各選手がどれだけ結果に執着して、練習ができるか?がカギとなる。
しかし、新井選手の表彰台の姿をみて、何を思うか?
自ずとモチベーションは上がるはずだ。