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男子20㎞ レビュー
男子20㎞競歩が終わりました。
結果は、皆さんご存知だと思いますが、一応IAAFの結果のサイトを載せておきます。
https://www.iaaf.org/competitions/olympic-games/the-xxxi-olympic-games-5771/results/men/20-kilometres-race-walk/final/result#resultheader
【全体レビュー】
気象状況もよく、メンバーも揃っているので五輪レコードでの争いを
予想していました。
結果としては王選手が、4年前の雪辱を果たして金メダルを獲得しました。
レースとしては集団にずっと待機していて、勝負所で1㎞を3’45まで上げて振り切る。
その作戦の成功確率を上げるためにサイタクリン選手が、前に出てペースを作る
おそらく、中国チームが事前に立てていた作戦でそれが綺麗にはまった感じです。
しかし、王選手強いです。前半でシューズが脱げるアクシデントがあり、
小競り合いもしてましたが、慌てませんでした。集団でずっと気配を消していた感じ。
イギリスのボスワース選手が飛び出して逃げようとも、松永選手が出ようとも
じっと、その時を待っている感じ。レース中に解説で王選手の名前を言いたくても
画面に出てこないので言えない。勝負に徹した素晴らしいレースでした。
結果からみれば、強いレースでしたが、決して楽ではなかったと思います。
世界陸上モスクワでは失格、自国開催の世界陸上北京も警告2枚でロペス選手の
追い上げを逃げ切ることが出来ませんでした。
今回も17㎞地点で飛び出しましたが、勇気はいったと思います。実際にすぐに警告が1枚出ました。
結果論で金メダルだったので良いのですが、警告は2枚出ています。
薄氷の金メダルだったといえるかもしれません。しかし、見事な作戦勝ちでした。
サイタクリン選手も、後半はチャンスがあれば王選手を摑まえるつもりだったと思います。
実際にしっかりと追いかけてました。大きな大会でメダルすらなかったのですが、
ここで一気に開花した感じです。
銅メダルのバードスミス選手はオーストラリアの選手なのでよく知ってますが、
ファイティングスピリットの塊です。コーチをしている父親のデイブも。
実力的には、日本選手の方が上だと思いますが、ハートが違い過ぎました。
メダルを獲る執念の差、といって良いでしょう。
少なくとも、メダルを獲った3選手については、このスピリットの部分で
日本選手を圧倒していたと思います。
【日本選手レビュー】
どうしても、「よそいきの試合」になってしまう、ということが、結果が出ない弱点
だと思います。
スピードがどの選手もついてきているので、日本でレースをすると
「最後まで速いペースを出せたものが勝つ」
こういうレースになります。日本で代表になるには、とにかくスピードが出せて
我慢できれば良い、というレースになります。
しかし、海外のレースでは相手の嫌なことをして、スピードの上げ下げをして
瞬発的なスピードと正確なフォームが必要になるレースとなります。
そんなレースをあまりしたことが国内ではないのに、いきなり海外のレースで
自分たちのしたことのないレースの仕方をするので、結果につながりません。
やはり、例え負けたとしても自分たちが日本でしているレースを本番でもするべきです。
しかし、それにはかなりの覚悟が必要です。ずっと先頭にいると
「いつ抜かれてしまうのか、追いつかれてしまうのか?」
という不安が疲労を倍増させてしまうからです。しかし、そこは自分を信じて自分と戦う
そこで勝てるのか?負けるのか?でしかないような気がします。
もちろん、本番での試合は単純ではないので、海外の選手もそれにアジャストしてくるでしょうが
勝負にはなると思いますし、相手の嫌がるレースではあります。
そういった意味では、松永選手は初五輪でありながら、
その片鱗を見せてくれるレースをしてくれました。
実際にもう少しうまくレースをすれば、銅メダルには届いていたと思います。
レース後の彼のコメントを聞いても、彼も同様に感じていたようです。
日本の20㎞選手は長所をうまく伸ばして、大きな飛躍をしてきました。
そろそろ自分の苦手な部分にも目を向けて、そこに勇気を持って立ち向かえば
速さのある日本、だからこそ「強い日本」にすぐに変われるはずです。