BLOG
ウォーキングブログ
日本競歩の展望
世界陸上ロンドンを終えて、無事に帰国しました。
陸上史にも残る歴史的快挙を解説出来たのは、大きな誇りです。
一方で今後も日本が競歩で確実にメダルを獲るために、この結果を冷静に分析する必要があると思います。
50㎞競歩での銀・銅メダル獲得は、もちろん凄いことです。
しかし、五輪の金メダリスト・銀メダリストが出場していなかったことは、やはり日本のメダル獲得の大きな要因になったのは否めません。
現状では東京五輪で50㎞競歩でメダルが獲れるか?と聞かれれば、1つ獲れれば大成功でしょう。
39才でも荒井選手に8分差をつけ金メダルを獲ったディニズ選手は五輪でのメダルはまだなし。東京五輪に出ることは予想でき強力なライバル。
怪我での欠場のメダルコレクターのタレント選手、すでに東京五輪は出ると表明。
今回、1週間前に風邪を引いて万全では無かったダンフィー選手。年齢的にもこのままでは終わらない。
これらの選手は、東京五輪で日本の強敵となるでしょう
東京の暑さが日本人に有利とメディアは言いますが、日本チームが外国で試合をするときにも、その国の気候に合わせたトレーニングをしての臨みます。
ですから、東京開催だからといって気候が日本に味方するとうのは安易だと思います。
そして、50㎞競歩が少なくとも東京五輪以降は無くなる可能性は決して低くはありません。
無くなるという前提で考えたときに、50㎞競歩だけに日本の競歩が頼る構図は、日本が競歩大国への道を難しくします。
20㎞男子は、「速さ」=「強さ」ではないということを改めて認識すべきだと思います。
今回、優勝したアルバロ選手は、自己記録1時間19分45
そして、優勝タイムは1時間18分53秒
前回優勝のロペス選手は、自己記録1時間19分21秒で、優勝タイムが1時間19分14秒
リオ五輪優勝の王選手は、自己記録1時間17分36秒でリオ五輪優勝タイムが1時間19分14秒。王選手だけ持ちタイムが速くて優勝しているように見えますが、実は彼がこのタイムを出した2012年のロンドン五輪は、金メダルを獲れず銅メダルでした。
日本人選手は、持ちタイムは決して見落とりするものではありません。
高橋選手 1時間18分03秒
藤澤選手 1時間18分23秒
松永選手 1時間18分53秒
そして、今季世界最高のKAIHUA WANG選手も1時間17分台でありながら勝てませんでした。
2014年1時間18分14秒という当時の自己記録で世界陸上モスクワに挑んだ現世界記録保持者鈴木選手は、1時間23分20秒で12位でした。
もちろん、いろんな状況の違いはあるにせよ、事実として
勝った選手は「速い」選手ではありません。
つまり、「速い」選手は強い選手ではない、ということです。
そのことを、しっかり認識しないと、20㎞の強化にはつながらないと思います。
参考になる、良い選手がいます。
それは、中国の王選手リオ五輪の金メダリストです。
彼は、2012年以降もう5年以上自己記録を更新していません。つまり当社比で「速く」なっていません
しかし、2013年の世界陸上こそ失格しましたが、16年世界チーム選手権優勝に16年リオ五輪優勝しました。
つまり、当社比で「強く」なっています。
おそらく、トレーニングの目的を自己記録を更新する、ではなく、【勝てるレースをするためのトレーニング】にシフトチェンジをしたのでしょう。
そして、そのことに彼を目覚めさせたのは、おそらく前述の2012年、2012年今季世界最高記録保持者でありながらロンドン五輪を勝てなかった悔しい経験が、自己記録の更新ではなく、勝てるレースをトレーニングにする、という選択にしたのだと思います。
つまり、求めるものは「速さ」ではなく、「強さ」
この彼の結果から、日本男子20㎞は学ばなければいけないと思います。
女子20㎞競歩は岡田選手独りに頼る構図から、いかに早く脱却できるか?
そこが最重要課題です。
女子の育成を難しくしているのが、高校から大学での競技の継続、大学に進学しても競技力が低迷する。
これはコーチ不足とトレーニング環境の少なさがあるでしょう。
ここは、競歩の強化部としてもサポートしていってますが、まだ時間が掛かるかもしれません。
東京五輪以降の男子50㎞の存続が不透明な中、もし東京五輪で50㎞が金銀銅を独占し、日本国中が競歩人気がでたとしても、東京五輪で50㎞が終わってしまうのであれば、競歩人気は続きません。
20㎞競歩こそが、東京五輪でメダルを獲り注目を浴びるようになった競歩を結果を出して支えなければいけないのです。そのためにも今から20㎞競歩を「速い」から「強い」に変えていくのは非常に重要なポイントです。
そして、それはあと3年後にやってきます。
世界陸上ロンドンで50㎞でメダルを2つ獲った!東京五輪も期待できる!!で今大会を総括してしまうと東京五輪以降苦しむことは明白です。
競歩が2020東京五輪で確実に活躍し、その後も競歩大国として、マラソンのような人気種目になるその日を想って…